大分県環境管理協会は、快適な生活環境の推進を掲げ、浄化槽の普及に取り組んでいます。法定検査や水質検査を行い、生活排水の浄化に努め水質向上に貢献することを目的としています。


私たちが生活している地球は「水の惑星」と云われています。地球の表面の4分の3を水が覆っており、その水の量は約14億立方キロメートルです。そのうち97.5%が海水で、残りの2.5%が淡水です。しかしその淡水の中には、北極や南極の氷や地下水なども含まれるため、私たちがすぐに使うことができる水は、地球上の水のたった「0.01%」しかありません。なぜ水は無くならないのでしょうか?それは、水が20億年も前から固体・液体・気体と姿・形を変えながら地球で大循環を繰り返しているからです。私たちが使った水が海へと流れ雲となり、雨となって地上に降り、また水を使うことができます。


 


私たちは普段、様々なところで水を使います。トイレ・洗濯・お風呂などの生活でも使いますし、工場や農作物の栽培など仕事でも使うため、毎日水をたくさん使いながら生活しています。私たちが使った水(生活排水)をそのまま海や川へ流してしまうと魚たちが住めない汚れた川や海になってしまいます。川や海を汚さないために、生活排水は公共下水道もしくは浄化槽で水をキレイに浄化してから川や海に流されます。浄化槽は公共下水道と同等の汚水処理能力を持ち、使った水をその場でキレイにします。大きなタンクの中には、様々な機械装置がついていますが、実際に水をキレイにしてくれるのは、目には見えない小さな生き物「微生物」たちです。


 


浄化槽の中では、この微生物たちが水の汚れを食べてキレイにしてくれます。微生物たちが元気に働いてくれるように、浄化槽のお世話をする人たちがいます。微生物に与える空気の量を調整したり、消毒の薬を入れる「保守点検」の人、浄化槽の中にたまったトイレットペーパーなどの固形物を引き抜く「清掃」の人、そして保守点検や清掃をきちんとしているかをチェックする「法定検査」をする人です。わたしたち(公財)大分県環境管理協会は、この「法定検査」の仕事をしています。しかし、これらの人たちが浄化槽のお世話をしているから、微生物はずっと元気で水をキレイにしてくれる…というわけではありません。


 


微生物たちは大きな野菜くずや大量の洗剤がとても苦手です。台所には水切りネットをセットして、野菜くずが流れ込まないように気を付けましょう。そして私たちの身近なところでできることは、洗剤の使い方に気を付けることです。洗剤の裏側には「使用の目安量」が書かれています。洗剤は使えば使うほど汚れが落ちるというわけではありません。
目安の量を守って使うと、汚れも落ちるし微生物も元気なまま浄化槽で活躍できます。


 


浄化槽にも苦手なものがあります。浄化槽の中に、ティッシュペーパーやおむつ、お菓子のゴミなど「水に溶けないもの」がたくさん入ると、浄化槽の中の機械にからまり詰まってしまいます。そうすると、水が次の部屋へ移動できないためタンクの中から水があふれてしまったり、トイレ等の水が流れなくなってしまう可能性があります。私たちができることは、トイレから「水に溶けないもの」を流さないようにすることです。水に溶けるティッシュペーパーなどは流しても大丈夫ですが、トイレットペーパーなども大切な資源の1つなので、使い過ぎ・流しすぎには気を付けましょう。


 


CODパックテストを使うと、水の汚れの度合いを調べることができます。水を吸い込んで、5分間待つとチューブ内の水が変化していきます。ピンク色がキレイな水、黄色に近づくにつれて汚れの度合いが大きくなります。魚は汚れの度合いが5mg/L以下の水でないと住むことができません。私たちが日頃食べたり、飲んだりしているもの(牛乳やしょう油など)を、水道水を入れたカップに1滴落として、水がどれだけ汚れるか調べてみましょう。


 


実験の結果はどうでしたか?実験の結果から、私たちが普段口にしているものは、水を汚してしまいやすいということがわかります。浄化槽の中には微生物たちがいるので、汚れを食べてキレイにしてくれますが、たくさん流しすぎると微生物たちもすべての汚れを食べきることができません。みんなができることは、なるべく食べ残したものを台所から流さないようにする、しょう油やドレッシングは使う分だけかける、お皿には食べれる分だけ盛り付ける、といったことを心がけることです。 13


 


この授業では、私たちが使った水はそのまま川や海へ行くのではなく、浄化槽や公共下水道でキレイにして流しているということを勉強しました。しかし、何も考えず汚れた水を流し続けると水をキレイにし続けることが難しいということがわかりました。私たちが住んでいる日本は、蛇口をひねればいつでもキレイな水を使うことができる、とても恵まれている国です。世界ではキレイで安全な水を飲むことができずに死んでしまう子どもたちがたくさんいます。授業の最初で説明したように、私たち人間がすぐに使うことができる水の量は地球全体のたった0.01%しかありません。貴重な水を世界中の人たちと大切に使っていくために、この3つのおねがいを心がけてて、キレイな水を守りましょう。

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